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「んー、陸君の大切な物が見たくなっただけだよ。」
俺の事を抱き込みながら陸が聞いた。
恐らく睨んでいるのであろうが、副長先輩はあまり気にした様子もなく答えていた。
大切?友人は大切だとは思うけど、先ほどから副長先輩の物言いはまるで、俺と陸が恋人関係にあるような感じだ。
ザッと血の気が引く。どこかで俺が陸に告白した事実が漏れてしまったんだろうか?
陸に迷惑をかけてしまった。
なんて言えばいい?俺がそう考えていると
「琥太郎は大切。だから、先輩達でも手を出すなら許さない。」
と陸が言った。
「ふーん。」
つまらなさそうに、副長先輩は答えた。
これ以上この場にいるのは心臓に悪すぎるので
「あ、あの、用が無いのであれば俺はこれで!!」
と言って陸の腕の中から抜け出して、そのまま走って屋上を後にした。
逃げるという選択しかできない事が恥ずかしい。
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