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「あいにく、今日採り出したる肝は、まだ薬になるまで多少の手間が必要で……採り出してすぐには薬にならないのでござる。別の肝でしたら、すぐに御用意できるが」
ところが、男は黙ったまま源之助をきっと睨みつけてきた。
まるで獣……狼さながらの目つきで。
「あの、いかがなされたか?」
「……ではござらぬ」
源之助は酔ってはいない。それでも、客人の男が何を発したのか、よく聞き取れなかった。源之助は一歩、男の方へ近づいた。
「今、なんと?」
「肝ではござらぬ。お願いしたいのは……胴の方でござる」
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