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家族4人の暮らしに異変が起こったのは、父のリストラだったことは言うまでもない。勤勉な父が、急に人が変わったように朝から酒びたりになった。母は2つのパートを掛け持ちし、オレと妹が高校を卒業できるように頑張っていた。
当時、高校3年だったオレは卒業まで半年を切り、大学受験を諦めて就職することになった。クラス担任は何度も奨学金を借りてでも進学することを勧めた。確かに担任の説明は理解している。将来的な選択肢が、まだ18歳の時点で大きく変化するのであれば、少し無理をしても可能性に掛けた方がいい。しかし、オレの決意は揺らぐことなどなかった。母と妹のことを優先すれば、地元で就職して一刻も早く収入を確保したいと思ったのだ。
今、地元の運送会社で働くオレは酒を飲む父の姿が少し離れた場所から眺めている。肝臓を壊した父ではなく、働きづめだった母の方が先に亡くなったことに驚いたのはオレだけではない。いつも、「あるがとうね」と言っていた母の口ぐせが耳に残っていた。残り少なくなった酒を名残り惜しそうに飲み干した父の視線が周囲を彷徨った。オレは視線を外して妹を探す。
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