紅茶色の犬

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紅茶色の犬

僕の髪は紅茶色だ。 そして僕は、この髪の色が嫌いだ。 だって友達から「何で黒くないの?」とか「不良みたい」とバカにされるからだ。 その内にこんなことを考えてしまう。 「もし自分に子供が出来たら、その子も紅茶色の髪なのかな?そしたら僕と同じようにバカにされるのかな?」 そんな不安を感じていたある日、僕は自分と同じ紅茶色の犬と出会う。 「ごめんなさい、私の犬なの」 女の子がやって来る。どうやら目を話した隙に逃げてしまったようだ。 「あら、あなたの髪の色、この子にそっくり。紅茶色ってキレイよね」 「うん…でも僕はこの髪の色が嫌いなんだ」 「えっ?どうして?」 「だってみんなから『染めてる』とか『不良みたい』とか言われるし…それに、もし自分に子供が出来てその子も紅茶色のだったら、僕みたいにからかわれるんじゃないかって…」 すると女の子は急に「見せたい物がある」と言い家に招待する。 女の子は紅茶色の犬とは別に、鮮やかなレモン色をした犬を紹介してこう言った。 「紅茶色の子とレモン色の子にはたくさんの子供がいるの。その子達は何色だと思う?」 「? それは…紅茶色でしょ?」 フフフと笑いながら女の子は子犬を連れて来る。 僕はその子犬を見てハッとした。 子犬の色が薄い紅茶色だったからだ。 「ねっ、スゴいでしょ!でもこれだけじゃないんだよ」 そう言うと少し大きめの子犬の隣に蜂蜜色の犬を並べる。 「この子達にも子供がいるのよ。何色か分かる?」 僕は首を横に振る。女の子は更に子犬を連れて来る。僕は更に仰天した。 今度はそれとは逆に黒っぽい色の子犬だったからだ。 「親子でこんなに色が変わるなんて不思議だなぁ」 「そう?私達だって同じだよ」 「えっ?」 「だって私達と全く同じ格好した人なんていないでしょ?みんな似ているようで、ちょっと違う特別な色をそれぞれ持っているんだよ。この犬達みたいに自分だけの色を持てるなんて嬉しいことだと思うな!」 それを聞いて僕は気が付いた。確かにみんなとは髪の色が違うけれど、別に恥ずかしがることじゃない。だってそれが僕だけの色なんだからと。 そう思うと僕は凄く嬉しくなった。 「特別な色を持つ自分を好きになる」 そう僕に教え、変えてくれた女の子と紅茶色の犬の大家族にさよならし、ウキウキしながら家へと帰るのだった―。
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