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私は、他の母親たちから次々とマシンガンのように繰り広げられる話を聞きながら、笑顔で相槌をうつ。
テーブルを3つ、くっつけて広く使っているが、奥の席にいるはずの子供たちはすっかり飽きてしまい、店内をまるで公園にでもいるかのように走り回ってる。
そのうちひとりの子供が、会計を済ませてトレーを持って歩いてきた大学生らしき若い男性とぶつかった。
母親たちはチラリとそちらに目をやる。
「大丈夫~?」
転んだ子供の母親が大声で子供に聞く。
「うん。
大丈夫!」
子供に怪我はなく、そのまま立ち上がると他の子どもたちの元へと再び走っていく。
大学生が「ちっ」と口を鳴らして、親を見るが自分の子供が怪我をしていないことを確認した時点で、既に母親たちのトークは再開されていている。
その態度に腹を立てた大学生がつかつかと、私たちの方へ近づいてきた。
「あの、すみませんっ」
私たちのテーブルの脇に立った、大学生が声をかけてくる。
「店の中でお子さん走らせてると、危ないと思いますけどっ!
僕も、たった今ぶつかられましたし」
母親たちは、黙ったまま仏頂面で大学生を見上げている。
と、先程大学生にぶつかった子供の母親が大声で子供を呼んだ。
呼ばれた子供はきょとんとしながらも、母親の元へと駆け寄ってくる。
「ほら、あんた、さっきぶつかったでしょ?
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