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この、恐ぁ~いお兄さんが怒ってるから謝りなさい」
子供は大学生を見上げて、その瞳を恐怖で揺らす。
「ご・・・ごめんなさい・・・」
子供に謝れた大学生も慌てた様に、胸の前で手をふる。
「あ、いや・・・いいんだ・・・・。
ごめんね。
ありがとね」
大学生は母親をキッと睨むと、そのまま行ってしまった。
「はぁ?
なぁに、あれ?」
「いいなら、言わなきゃいいのにねぇ」
「ほぉんと、何がしたかったんですかぁ?って感じ」
大学生をバカにするように、母親たちが高い声で笑う。
私もそれに合わせて苦笑いした。
『ねぇ、ところで・・・・・』
私は口を開く。
『雨女って、知ってる?』
するとひとりの母親が窓の外を見る。
「え?なんか・・・、雨ふりそうじゃない?」
『そう・・・・。
雨、降りますよ』
「やだぁ~、洗濯物だしてきちゃったよぉ~」
「あんた、雨女なんじゃないのぉ?
この前も急に雨降ったでしょ~」
『私ですか?
どうでしょう・・・・。
だけど・・・、雨女ってね、雨の日に自分の子供が神隠しにあったそうなんです。
それで、雨が降る日に泣いている子を見つけてその前に現れるそうですよ。
手に大きな袋をもって・・・・』
「やだぁ、変な事いわないでよぉ」
「雨女なんて、結局は迷信でしょぉ~」
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