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そう言って、また母親たちは笑った。
私はふと、子供たちに目を向ける。
相変わらず店内を走り回る子供たち。
ひとり・・・ふたり・・・さんにん・・・・
あれ・・・・・
私は気づく。
私の子がいないっ!
不安に駆られて、思わず勢いよく席を立つ。
その勢いで、椅子が後ろに勢いよく倒れた。
店内に椅子の倒れる音が響く。
一緒にいた母親たちも、一瞬止まって驚いている。
隣に座っていた母親が、椅子を直してくれた。
『あ・・・ごめんなさい。
ありがとう・・・・』
「どうしたの?」
向かいに座る母親が聞く。
「なんか、鞄でも引っ掛かったのかも」
『そうなんです。
えっと・・・うちの子の姿が見えないので私、探してきますっ』
「気をつけてよねぇ~。
びっくりするからぁ」
『あ・・・はい。
ごめんなさい』
私はそのまま店内をくまなく歩きまわる。
私の子・・・・・
私の子・・・・・
私の可愛い・・・・あの子はどこ・・・・・?
その時、ふと窓の外の景色が目に入る。
先ほどから徐々に暗くなってきていた空は、とうとう我慢の限界が来たとでも言うように、一気に土砂降りの雨を落としていた。
雨の音が店内にまで、響き渡る。
どこかくぐもったざぁーっという音は、私を執拗に不安にさせた。
あの子を探さなきゃ・・・・・
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