雨女

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こんな雨の日だった・・・・・。 そうだ。 全て、思い出した。 私は手に持っていた大きな袋の口を開いて、泣いている子の前に広げた。 『この中へ、お入り。 そうしたら、土砂降りの雨も、雷も・・・怖くないから・・・・ 私が、守ってあげるから・・・・・・』 子供は手の甲で涙を拭いながら、私を見上げる。 私はその子に、できる限りの優しい笑みを見せた。 私の広げた袋に、泣いていた子が四つん這いになりながら、おずおずと入った。 子供が完全に入るのを確認して、私は袋の口をきゅっとしめる。 その瞬間、なんだかおかしくなってきて私はふっと息を吐くように笑った。 そう、全て思い出した。 雨女は・・・・・わたし・・・。 目の前で突然消えた友達を案じて、残ったふたりの子供が母親たちのところに駆けて行く。 子供たちの知らせを聞いた母親たちは、血相を変えて子供を探し回っている。 だけど、もう遅い。 私は子供の入った大きな袋を抱えて、慌てふためく母親たちのすぐ脇を通って店をでる。 彼女たちは私に気づかない。 それもそのはず。 あの母親たちに、最初から私は見えていなかったのだから・・・。 ふと、胸に抱えた袋の中の子を見る。 あぁ・・・・・この子も、私の坊やではなかった・・・・・。     
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