ぬいぐるみの神様

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 俺が憑依をして、2か月が経とうとする頃。  最近病室に医者がよくやって来るようになった。  お婆さんの体調が思わしくないようだ。  俺だって一応神だ。  なんとなく、このお婆さんに死期が近づいているの位わかるさ。 「手を……繋ごうね……勝…………」 ――――――――――――――――――――――――――――  そしてとうとうその日がやってきた。 「迎えに来ましたよ」  現れたのは死神だ。 「勝……どこに……いるの…………勝…………」  お婆さんはうわ言の様に繰り返している。 「手を……離して……本当にごめんね……ごめんね…………」 「じゃいきますよ」  と、鎌を持ち上げる死神。 「ちょっと待ってくれ」  俺は周りに人がいないことを確認し、  人形を操り、お婆さんの顔の横へ歩いて行った。 「な!? 何をしているんですか!重大な規則違反ですよ!」 「うるせぇっ!!!」  あまりの怒気に怯む死神。  俺はお婆さんに優しく話しかけた。 「オカアサン。ボクダヨ。ムスコノマサルダヨ」  俺は精一杯の演技をした。  声が似てるか似てないかなんて関係ない。  とにかく必死だった。 「あぁ……勝…………」  お婆さんの眼から涙が一筋流れる。 「ソウダヨ。ココニイルヨ。モウドコニモイカナイヨ」  俺は小さい人形の手でお婆さんの手をぎゅっと握りしめる。 「勝……もう……離さないからね…………」  お婆さんは安らかな笑顔で、そのまま息を引き取った。
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