<縮まる距離>

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新しいチームにも慣れて、みんな優しくてとても働きやすかった。 前のチームの先輩たちからも可愛がられ、お局とは顔を合わすが挨拶程度で済んだ。 もちろん私が抜けたことにより、バタバタしていることはわかっていたが、彼が穴埋めをなんとか行い、いつのまにか何事もなかったかのように、わたしもチームに馴染んだ。 年末になり、2回目の忘年会。 私は同じチームの先輩たちと楽しく話していた。 彼がどかっと隣の席に座ってきた。 なんだか色々話したけど、私も酔っていたのでほとんど覚えていなかった。 仕事納めの日に、部長会がありパートさんだけ集めて年末の打ち上げがあった。 会場についたら彼がいて、あみだくじで席を決めていた。 「田中さんは俺の前ね。」 「はい」 乾杯のためにコップにビールを注ごうと思った私は彼のコップに勢いよく注ぎすぎてこぼしてしまった。 大笑いしながら彼が 「雑!!田中さんてそーゆーところ雑ですよねー」 この1年間、わたしの大雑把で適当な性格をよくいじってきた彼。 彼と仲良くなってきていたので私も適当に 「大丈夫!今ふきまーす!」 と笑ってごまかした。 楽しくのんでいつのまにか彼とは離ればなれの席になってた。     
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