6人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「・・・まぶ・・・しい・・・」
どれくらい気絶していたのだろうか。目を開けようとしても眩しくてなかなか開けることが出来ない。
やっと目が慣れてきた頃、それが太陽によるものだと気が付いた。そう、太陽だ。
「・・・?俺、確か学校の実験室・・・室内にいたよな。」
周りをゆっくりと見渡すと何も無い草原が広がっている。爆発で学校が吹き飛 んだということはあるまい。そんなに大きな爆発にはならないはずだ。ここが死後の世界というやつか。はたまた夢を見ているのか。そうでなければ我ながらファンタジーな思考だとは思うが・・・
「爆発の衝撃で別世界に?」
自分の馬鹿な考えに思わず笑いがこぼれる。最近のマンガやアニメでよく見るやつだ。それが自分の身に?ありえない。化学の実験中に起きた非科学的な事態。
そんなのーー笑うしかないじゃないか。
とりあえず爆発前の事を思い出してみようか。普通なら水素や危ないガスを扱う実験の場合窓を開けておくはずだが。冬なのもあり冷えるとかいう理由で女子が窓を閉め。実験が始まる頃に開ける約束だったが。そのままだった。一斉に始めた実験。1つの班では微量でも複数の班が同様の操作を行うことで生じた大量の水素。絶対やってはいけないタイミングでマッチを擦った俺。
「ーで、爆発して今のこの状態か。」
突然のことに頭の中は色々な考えが堂々巡りだ。みんなは無事だろうか。そして何より罪悪感で死にそう。もう死んでるのか?もしやみんなもこの世界に?
とても今すぐ納得できる答えを得られそうにはない。
「こんなとこにいても何もわからないよな。」
長いこと座って考え込んでいたから尻がいたい。
立ち上がって草をはらったあと、少々大袈裟に伸びをした。
「とりあえず~、あっちだ!」
そう呟くと白衣を来たままの青年。――相田皐月はあてもなく歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!