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突然の宣言にラーチェは固まる。この方は何を言っているんだ。差し出せと言われている方が自分からノコノコ出向くと、そうおっしゃっている。
「いけません姫様!そんなの許せるわけないでしょう!?」
本気でダメだ。この方なら魔王城につく前に行き倒れる可能性の方が高いし、なんせひとりじゃ何も出来ない。小さい頃から見てるから知ってる。わがままで自分勝手、楽天的・・・それにお人好しだから道中絶対騙されるに決まってる。
「ダメです。姫様、きっと陛下がなんとかしてくれます。お願いですからやめてください。」
知ってる。小さい頃から見てるから。それでもこの方はそうと決めたら曲 げないことを。でも、言わずにはいられない。
「ラーチェ・・・ありがとう心配してくれて。でもね、お父様に相談すればきっと勇者様は見殺しにされる。私も閉じ込められて何も出来なくなるわ。助けられるのは私しかいないの。それに、今しかないの!」
姫様の決意は固い。それを止める権利は私には無い。止めたくても止められない。ラーチェは深く、深くため息をついた。
「姫様。決意は揺らがないようで。これ以上私には引き止めることは出来ません。でも、万全の準備を整えて行く事を約束してください。」
姫は分かってたとばかりに二カッと笑った。
「そうね、準備は大事だもの。さて、それじゃあ早速準備に取り掛かりましょうか!」
「ええ、お手伝いいたしますね。」
2人は準備に取り掛かるため庭園へと足を向けた。
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