第1章 「結成!臨時パーティ」

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時は午後3時。おやつの時間。 王国の誇るバラ庭園ではきらびやかなお茶会が開かれていた。様々な茶菓子と上品な香りの立ち上るお茶が並ぶ長机にはズラリと並んだ容姿端麗なメイド達。そして机の一番端、いわゆるお誕生日席にはいかにも王子様な衣装に身を包んだ王族。 メイダリア王国第一王子メリ・メイダリアが座っていた。 「メリ様~!今朝庭園で取れたバラがとっても綺麗だったのですわ。差し上げますわね。」 メイドの1人が進み出てメリにリボンで飾られた一輪のバラを差し出す。メリはバラを受け取った後、メイドの右手に軽くキスをした。 「ありがとうレイベル。君がくれた薔薇も綺麗だけれど、やはり君の美しさには叶わないみたいだね・・・君の笑顔が一番のプレゼントだよ」 プッ・・・。ゥ・・・クス。メイドの何人かが少し顔を逸らした。逸らさなかったメイドの中でも唇を噛み締める者がいた。 「うーん。はっきり申しまして。気持ち悪いですわね。」 「なんで!?だってレイベルがこうしろって・・・」 メリは涙目で立ち上がる。その頬は少し紅潮している。やはり本人にも恥ずかしさがあったようだ。 「お似合いになりませんでしたね!別の方法でお誕生日会を盛り上げるとしましょう。」 メリはジトッとした目でレイベルを見つめると、どかっと椅子に腰を下ろした。 今日は今週末行われるメリの生誕パーティの予行練習を行っているのだ。メイド達を訪れる令嬢に見立ておもてなしのリハーサル。 しかし絶賛難航中であった。 「やはり柄にないことはするものではありませんわね。困りましたわ、メリ様・・・腹踊りでも!」 「しないよ!!どんなパーティなんだよ。一応僕は王子様なんだから・・・」 完全に不貞腐れたメリを余所にいつも通りのやり取りをみたメイド達から笑みがこぼれる。レイベルはその様子を満足気に見渡すとメリの後ろに視線を移す。 「あら、リル様。珍しくメリ様に御用がおありですの?」 メリの後ろには笑顔のリル姫が立っていた。更にその一歩後ろにはラーチェもいた。 「メリ様。用意が整ってございます。どうぞこちらへおいでくださいませ。」 ラーチェがメリに礼をして告げる。 「行くわよメリ!立ちなさい!レイベル、ちょっと出かけてくるわ。この弟借りるわね」 リルはレイベルにウインクするとそう言ってメリの腕を引く。
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