6人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「まあまあ、姉弟でお出かけなんてとても素敵ではありませんの。行ってらっしゃいませ。メリ様、リル様。どうかお気を付けて。」
「「行ってらっしゃいませ。」」
レイベルが深々と礼をすると他のメイド達も続いて礼をする。
「行ってくるわ!」
リルは元気に返事をすると頭にハテナマークでも浮かんでそうな弟、メリを引き連れて城の中へと入っていった。
レイベルは顔を上げると目を細めてラーチェを見つめた。ラーチェは同じように目を細め身を翻す。
「レイベルは察しがよくて助かります・・・」
ラーチェの呟きはその場にいる誰にも聞こえることは無かった。
「姉ちゃんどこいくんだよ。急に・・・誕生日パーティの練習してたのにさあ。」
「それ、無くなったわ。というか無断欠席になるわね」
リルはサラリと告げる。次々と訪れる展開にメリの顔は更に戸惑った。
「それ、どういう・・・」
「さっ、これに着替えて!私はあっちで着替えてくるから」
弟の質問など気にも留めずリルは旅装束を投げ渡す。もちろんメリに理解できるはずはない。メリは渡された旅装束を持ったまま動けずにいた。
「メリ様、突然の御無礼をお許しください。あなた様とリル様にはこれから・・・その・・・旅に出ていただかなければいけなくなりました。これは陛下や女王陛下にも秘密でございます。出発は今夜。目的は勇者様を助けることです。」
メリはしばらくキョトンとした顔をしていたがため息を一つついてラーチェをしっかりと見つめた。
「なるほど、それで姉ちゃんは助けを求めて来たわけか。もっと詳しい事わかんないとなんとも言えないけど。面白そうじゃん!いいよ、それに着替えればいい訳ね。」
「メリ様・・・」
ラーチェはまた深々と礼をした。ワガママな姫様も臆病な王子様もいつの間にか成長していた。後は2人に任せるしかない。
着替えるメリを部屋に残しラーチェは旅のための荷造りを用意し始めた。
最初のコメントを投稿しよう!