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署に戻ると、今回無差別殺人を行った男を別の刑事が取り調べしている事を聞き、一先ず取調室に向かう事になった。
別にそのまま取り調べを任せてもいいのだが、個人的に気になる事もあるし、自身が逮捕した事による責任もある。
「野神警部」
向かう途中、廊下で声をかけられ立ち止まると、今回の名越係を担当した刑事がファイリングされた資料を渡してきた。
「先程護送された被疑者のA号B号を簡単軽く洗い出しました」
「ありがとうございます」
お礼を口にし、資料を受け取り早速中身を確認。
今回の被疑者の名前は佐々木 荵、年齢は18歳、まさかの未成年か。
両親は普通の会社員で、虐待もなければ、環境が悪い訳でもなかったらしい。
だが佐々木 荵の素行は4歳頃から既に狂い始めていた。
突然2歳の弟を殴り、台所から持ち出した果物ナイフで何回も刺して殺害するという事件が起きたのだ。
原因は弟の泣き聲が煩かったからではないかと推測されているそうだが、本人は否定「そこに居たから」と答えた。
そして、この事件がきっかけで佐々木 荵は施設での生活が始まったのだが、そこでも事件を起こしている。
施設で飼っていた犬を殺害、近づいて来た人にも偶に暴力を振るったそうだ。
事前に過去の犯罪歴を聞いていた施設の職員は佐々木 荵の周辺から武器になる物を遠ざけていた為に、流石にこれ以上の被害は出ないと思っていたが、その願いは呆気なく打ち消される事となる。
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