第1話 真顔の連続殺人犯

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「何で隠すの?」 佐々木は自身の考えを信じて疑わないのか、しつこく食い下がって来たその時。 突如立花が目の前の机を強く叩いた。 鼓膜を突き刺す激しい音に、その場の空気が変わる。 「話しを逸らさないでくれるかしら」 立花の圧力的な声。 彼女は感情的になっている。 だが、当の本人は気にした様子もなく俺の方を常に向き、再度「ねえ、何で?」と問い続けた。 まるで元より立花が存在しないといわんばかりの態度だ。 「あのねぇ」 「立花、これ以上は抑えろ」 又何かを口走ろうとする立花を止め、佐々木に微笑みかける。 立花の行動はドラマで有りがちなシーンだが、現実世界ではしてはならない取り調べの一つだ。 いや、そもそも取り調べはまだ始まってすらないのかもしれない。 だが、一先ず、立花のその行動のおかげで、結果とし俺の精神は何とか安定を取り戻せた。 「すまないね、処で君はさっきから常に無表情だが、笑えたりするかい?」 「笑う必要があるの?」 「怖いと言う感情はあるかい?」 「怖い、何が?」 「人を殺した理由は?」 「だから、そこに居たから」 「君がココに連れてこられた理由は分かるかい?」 「分からないよ。それよりさ、何で隠すの?」 「……」 成る程、徐々にではあるが、佐々木の考えが見えて来たかも知れない。 彼は18歳でありながら、頭の中はリアル幼稚園児だ。 振り幅が大きく、感情にムラがあり、ADHDやピーターパンシンドロームの患者にも似ているが、それにしては冷静すぎる気がする。
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