第1話 真顔の連続殺人犯

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そもそも癇癪も起こさなければ、叫びもしない。 原因が有るとすれば、恐怖心の欠如だろうが、それだけではない気もする。 さて、そうと決まれば、物は試しだ。 立ち上がり懐に仕込んでいた銃を取り出すと、真っ直ぐと佐々木のこめかみに突きつけた。 「野神警部!」 「立花は黙ってろ」 慌てる立花を遮り、撃鉄を起こすと、カチャリと小さく鉄が擦れる音が聞こえる。 あとは引き金を引くだけで玉は出る。 だが、そんな状況下に置かれても、佐々木は先程と変わらぬ平然とした表情のまま、しかも銃ではなく俺を見つめていた。 強がりにも見えない。 「今、何をされているか理解しているか?」 「僕が殺されそうになってる」 眼球や声に震えはなく、答えも的を射ている。 状況をしっかりと理解していながら動揺しないのか。 確認が取れると、撃鉄を戻し、銃を納め、再度椅子に腰掛けた。 やはり佐々木には、恐怖という概念そのものが存在しない可能性が極めて高いだろう。 コレは、少し調べてもらう必要が有るな。 「野神警部、今のは私以上にまずいじゃないですか…… 始末書じゃ済みませんよ!?」 「お前が黙っていれば済む話だろ」 そんな突き放した俺の対応に、立花は頭を抑えると、何かを決意するかの如く深く深呼吸をした。 「どうなっても知りませんからね!」 「はいはい」 俺の相方が立花で、本当良かったとつくづく思うよ。
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