第1話 真顔の連続殺人犯

17/21
前へ
/166ページ
次へ
「失礼します」 そいいい、この研究室に踏み入れて来たのは、署で待機しているはずの相方の立花。 「……なんでお前が」 「織田課長からの伝言です“君達の抱えている諸々の案件は、他の10係の面々で処理を行なう。だから君達は心置きなく佐々木の全てを担当してくれたまへ”だそうです」 「要は、まる投げされたと」 立花の下手くそな織田課長のモノマネ伝言を聞き、頭を抑える。 「会話が成立するのが貴方しか居ないなら、そうなるわよね」 今度は朝霧が追い討ちをかけて来た。 厄介な仕事を押し付けられたものだ。 このままでは、他の犯罪者を追う隙が減る。 だが、断る権利は今の俺にはない。 「……課長の命令ならこちらも従わざるを得ません。では、さっさと始めて、さっさと終わらせましょう」 そう答えると、朝霧は小さく口角を引き上げた。 「検挙率1位の実績を持つキャリア男としてのプライドかしら?」 「もちろん」 挑発してくる朝霧の言葉に、こちらも微笑み返す。 だがこうなると、本格的に佐々木が邪魔だ。 元より佐々木が忌み枝である事は間違いないのだが、このままだと暫くは警察や精神科の監視下に置かれる為、剪定しづらい。 さて、どうしたものか。 そんな思いを胸に、俺は佐々木がいる精神科の面会所へと通された。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

154人が本棚に入れています
本棚に追加