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中は警視庁の取調室と違い、ひとり分の空間多く作られているのか部屋が広い。
そしてその中心に、見慣れたテーブルとパイプ椅子があり、その一つに佐々木は座っていた。
右横の壁には大きな鏡に見せたマジックミラー。
その先には薄暗い部屋があり、今回そこには、立花と鑑定師の朝霧が入り、俺と佐々木のやり取りを聞いている。
「やあ、2日ぶり」
そう話しかけると、少し俯いていた佐々木がゆっくりと頭を上げた。
手錠が付けられたままではあるが、その手錠からは長い鎖が地面の固定部分へと、余裕を持って伸ばされている。
「……野神警部?」
佐々木は俺と目が合うと、ポツリと呟いた。
「あれ、自己紹介なんてしたかな?」
「前話したとき、女の人が呼んでた」
「あぁ……」
立花と俺のやり取りを聞いて覚えていたのなら何故、立花は女呼びなんだ。
「ねえ、野神って苗字だよね、名前は?」
「それを知って何になる」
「野神さんは僕を知っている、でも僕は野神さんを知らないなんて不公平だよね」
成る程、常識がないわりに、公平を語る脳味噌はあるのか。
「……衛だ」
「ま、もる……まもる、衛」
佐々木は俺の名前を知ると、その名前を繰り返し口に出し始めた。
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