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「君は忌み枝という言葉を知っているかい?
盆栽の用語らしいんだが、その忌み枝は樹の成長を妨げる要因となる為、切り落とさなくてはならないんだ」
質問しながら口を押さえていたガムテープを剥がし、中に詰め込んだ血と汗の滲んだタオルを引き抜く。
唾液や血液が口から淫らにこぼれ落ち、そんな状況下で有りながらも男は騒がず、寧ろ静かに震えながら何回も「ごめんなさい」と繰り返した。
「何だ、罪を認める事が出来るじゃないか」
「ゆユュゆ、許してください、オお俺が悪かったです」
「残念だなぁ、忌み枝がどんなに許しを請うても、その存在が樹の成長を妨げているのに変わりないんだよ」
男の液がたっぷりと染み込んだままのタオルを又口の中に詰め込み、新しくガムテープで強く巻き直す。
男は抵抗し唸り声を上げるが、その声には何の興味も価値もない。
「残念だよ、本当に残念だ」
そう口ではいい、男の手を掴むと躊躇なくナイフで右手の小指を切り落とす。
そしてその指を綺麗に洗い、拭き取った後にトレーに置いた。
忠義や誠意の全く感じられないこの男に小指は必要ない。
「さぁ、剪定の始まりだ」
男の耳元でそう囁き、少ししてその男の動きが止まった。
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