第1話 真顔の連続殺人犯

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キャリア組は、叩き上げの連中に嫌われやすいとは聞いていたが、ここまで子供じみていると、正直何も感じなくなる。 だが確かに、自分よりも若い人間の下になるのは面白くないだろう。 「おいおい、お前ら僻みはいかんぞ。 野神君も何か言ったらどうだね」 陰口に気づき間に入って来たのは、織田課長。 前頭部に髪がない、気さくな60代だ。 織田課長の言葉には嫌味がなく、部下からの信頼も厚いが、こういう奴は、多分これ以上 上れない。 織田課長はあまりにも優しすぎる。 「言う事は有りませんよ、俺は好きですよ、こう言う事をハッキリ言ってくれる人」 半年後には、俺もこの課にある殺人犯捜査10係の係長になる。 つまりそんな小物は相手にするだけ時間の無駄であるという事だ。 「ひゅー、流石野神さんは器が違いますねー」 俺のそっけない反応に他がわざとはやし立て、先程まで文句を垂れていた者が舌打ちをすると、(ようや)くこの場は落ち着きを取り戻した。 やはり今日は平和だ。 そう思い、自分の仕事机に座り、これまで受け持っていた案件の資料整理を始めた時。 突如織田課長のテーブルの上ある電話が、けたたましく鳴り響いた。
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