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【過去編~冬真side~】
龍士、お前は強くなったよ。
昔は恥ずかしがり屋で、自分に自信が持てない奴だった。だからいじめられては俺にすがりついて泣いてたよな。そんなお前のこと俺は、弟のように可愛い奴だと思ってたんだぜ。
でもあの事があってお前は変わっちまった…。
それは俺たちが小3の頃のある雷雨の日。
(響き渡る雷の音)
冬真「…ひいっ!ビックリした…」
いじめのリーダー「おうおう、天下の射劔様も雷は怖いってか?」
冬真「はっ?べっ別に怖くねぇし!つかむしろ稲妻とか超テンション上がんですけどぉっ!」強がりながら
下っ端「ですってよ、リーダー!」
リーダー「射劔来いよ?雷大好きなお前に、取って置きの場所があるぜ!」腕を掴んでグイグイと引っ張る
冬真「ってぇな!どこつれてく気だ?」
そして俺は校舎裏の大きな木の近くにある、おんぼろな倉庫に連れてこられた。
冬真「何だよここ…薄気味悪りぃな。」
リーダー「ここ、雷見られる特等席だぜ!?良いから入ってみろって!」
冬真「…。ちょっとだけな。」入った途端リーダーに強く押され、倉庫の鍵を外から閉められる。
冬真「おいっ、テメェ何のつもりだ!?開けろよ、開ーけーろー!」
リーダー「ハッ、お前が悪いんだぜ。射劔!日頃の恨み張らしてやるまでだしてやんねぇよ。」立ち去る
冬真「…嘘、だろ。」
俺は暫く暗くて狭い空間に一人閉じ込められた。聞こえのは地面に勢いよく叩き付ける雨の音と、鋭い稲光を放った雷の音だけだった…。俺はただただ怖くて仕方なかった。大袈裟かもしれないが、ここで一人朽ち果てていくんじゃないかって思った程だ。
そんな諦めかけていた時に、お前は助けに来てくれたんだ、龍士。
龍士「冬真!居た、良かった…」
お前は安心した様子で俺に駆け寄り、抱きついた。俺も今までの恐怖から解放され、涙ぐんで抱きつき返した。
冬真「でも何でお前俺の居場所が分かったんだ?」
龍士「アイツらだよ。半殺しにして冬真の居場所吐かせた。アイツら本当に許せない…」
その時のいつもと違う龍士の言葉と、冷酷な表情に俺は驚きを隠せなかった…
冬真「半殺しって…」
龍士「さっ、帰ろ!ほら、見てよ冬真!虹が出てるよ♪」
いつも通りに戻った龍士に促され、俺たちは校内に戻った。
戻る途中で俺が目にした光景は今でも忘れられない。ーそれは血まみれの“ヤツラ”だった…。
→続きます
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