第1章 艷めく吐息は火薬の香り

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ほどなくして下ろされたロープを伝い、瓦礫を押し退けてクェンとアスナは冷ややかな空気の待つ地下遺跡の床に出て、へたり込んだ。 ぺたり 『はぁぁぁ~~~、死ぬかと思ったし~~~』 くたり、と青光りのする床にへたり込むアスナ。 『フツーに圧死するかと思ったもんな。潰されないようにするのがやっとだった』 大剣のバックルを確認しながらクェンが肩と腰についた埃を払う。 擦った箇所はあるが痛みはな い。 『ガシャりっ』としっかりその背に大仰な大剣を縛りつけた。 『実際、死んでても全然おかしくない崩落だったにょ。二人ともムダに運が良いにょだ』 『まったくだ。この悪運だけには感謝だな……ん?』 クェンの旅袋の中身がゴソゴソと動く。 小動物を思わせる『それ』は出口を求めて、その狂おしい動きを繰り返す。 ぶはっ 『彼女』と一緒に小さな羽根が飛び出した。 image=510681584.jpg
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