お迎えの時

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 里子の声が静かにアヤの背中に降り注いだ。アヤは、声を出すのをやめ、箸をパッと手放すと、またしっかりと里子に抱きついた。パラパラと乾いた床板に落ちる音が響いた。  里子に、アヤの小さな体から湧き上がった、緩やかな熱が伝わってきた。  二人のそばで口パクをしていたニュース番組は、お天気情報のコーナーに変わっていた。クリーム色のふわりとしたフリルが胸元についたブラウスに、黄色のタイトめなスカートを履いたお天気お姉さんが、「明日は梅雨には珍しく、穏やかに晴れます。貴重な晴れ間になるでしょうと」にこやかな笑顔で、口をパクパクさせて伝えていた。                      おわり
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