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いつもの席にアヤは座ると、目を見開いた。アヤの好きなクリームコロッケを今日はメインにしてみたのだ。里子は目論み道理だと、アヤの満足げな表情を楽しんだ。
「うまそー! 腹減ってたから、ほんとうまそー」
アヤはその勢いのまま、手に取った箸をうすく湯気の上がっているクリームコロッケの衣に突き刺し、口に運び、モグモグとおにぎりの様に食べ始めた。
「アヤ、ちょっと待ちなさい!」
思わずついて出た事もあり、里子の声は、自然と大きくなっていた。
「頂きます、もなく、それは何! あと、うまそーって女の子なのに。いけないでしょ。腹減ったもダメ。そんなパパみたいな言い方は、やめて頂戴。それに第一。第一、アヤのパパは、もう関係ないの・・・」
里子はそこまで言うと、声を飲み込むように、話を終わらせた。それから、「いただきます」と急いで付け加え、雑に箸を手に取ると、自分が駆け足のように準備した食卓のオカズを一望した。
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