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お迎えの時
いつまでこの雨は降り続くのだろう。しかし、どんなに、イライラしてみても、一行に止む気配のない梅雨の長雨は、今日も朝から絶え間なくシンシンと降って、里子の住む住宅街は、まるで薄いグレーのベールに包まれているようだった。夕方になってからも、厚い雲は、青空を見せてなるものかと、隙間なく立ち込めていて、太陽という存在をこの世から消し去ってしまったかの様だった。
飛行機でこの雲のうえに上がることができさえすれば、何処までも続く青空を、胸一杯に吸い込むことができるのかな、と里子は右手で指している傘の先から、空を眺めていた。
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