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プラチナブロンドの髪が、土の上に広がり、汚れていたけど、それでも美しいと思えた。
どうして、どうやって、なぜ、疑問は尽きない。だけど、それより先に、体は歓喜で支配されていた。
愛おしい顔の頬に触れる。触れた手に、小さな手が重なった。
「やっと会えた」
「うん、やっと来てくれた」
「……オレは……川谷蓮」
「私は、九条レミリア」
初めて、自己紹介を出来た。愛すべき名前を聞くことが出来た。
ここがどこか、なぜこれたか、そんなことはどうでもいいんだ。彼女がいるから。
「レミリア」
「……蓮」
きれいな音の響きの名前だ。そう思いながらオレは彼女に……レミリアにゆっくり顔を近づけてキスをする。
短いキスから離れると……彼女の碧玉の瞳が濡れていた。でも、悲しい泣き顔じゃない。嬉しくてつい零れてしまう波だった。
「……これで、側にいられる」
「うん……ずっと側にいてね」
レミリアが飛びかかるようにオレに抱きついてくる。
首に細い腕が回されたので、オレは彼女を抱き起こし、向かい合って、抱き合って座った。水面越しでは知ることができなったレミリアの温もり、レミリアの甘い匂いを感じていた。
ふと、視界に神棚が見えた。どこかで見た覚えのある神棚だ。……神さまが引き合わせてくれたのかも、なんてオカルトな考えが頭に浮かぶ。
それならそれでもいい。なんでもいい。
だって、愛おしいレミリアにやっと出会えたから。
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