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中学三年になり彼が入学してくると思っていたが、彼は引っ越して隣町の中学校に通った。
高校受験に備えて私立の中学校に通う事になったそうで彼は親戚の家に引っ越した。
夏休みになる頃には、いつもあの大きな木から蝉の鳴き声が聞こえてきた。
だが彼は滅多に帰らなかったようで会う事はなかった。
歳月の流れと共に彼の存在が薄らいでいった。
私が高校三年になった時、彼は入学してきた。
入学式で彼を見かけた。
思いがけない再会に一瞬驚いた私は彼に声をかけようとしたが、彼のやつれた顔と妙に輝く目が怖くなってやめた。
その日の晩、母に聞いたところ彼は私立の高校に落ちて彼も彼の親もとてもがっかりしたそうだ。
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