蝉の鳴く木

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 週末の午後、彼は実家に引っ越してきた。  「おお、久しぶり」  彼を見かけた私は声をかけた。  彼は黙って会釈して家の中に入った。  「何だよ」  無愛想な態度にムカついて歩きはじめた時、ガチャンとガラスが割れる音がした。  私は「えっ」と驚いて彼の家を見た。  次に台所の窓が割れて家の中から何かが出てきた。  「やめなさい!」  彼の母親の声が聞こえた。  「うるさい!」  彼の激しい怒鳴り声が漏れてきた。  「何か知らないがヤバいな」  私は家の前のチャイムを押した。  激しい物音が続いていた。  玄関のドアを開けて中に入った。  変な叫び声と激しい物音が響いていた。
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