勇気と後悔

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その日は、鬱陶しいくらいの青空で、僕の心はなんだか苦しかった。 何があったのか。思い返す。 まあ、僕は告白したんだ。 この学校で一番の美少女で、僕のクラスメイト、雨宮加奈子。 流れるような黒い髪に、スタイルの良い体。 笑顔は眩しいくらいに輝いていて、見る人を笑顔にさせる。 男の目を嫌というほど惹きつけるだろうというのは、想像に難くない。 僕は生まれて初めてラブレターを書いて、直接本人に手渡した。 誰かに恋をして、それを実行するのは生まれて初めてだったから、何をすれば良いのか分からなかった。 結果、マトモに喋ったことのない相手にラブレターで告白した。ハナから期待はしてなかった、と言えば嘘になる。 クラスのマドンナと、底辺では雲泥の差だ。僕と彼女じゃ釣り合うわけがない。 「あぁ、くそ!」 期待半分、恐れ半分でいつもより三十分早く教室に到着した。 そして、僕の机の上には、白い便箋が置かれていた。 それは間違いなく、僕が彼女に送ったラブレターで。 その便箋には一言、『ごめんなさい』とだけ書かれていた。 ーーそれだけで、全部を悟った。 「なんだよ、もう…」 便箋を机の上に放置したまま、窓に近づく。 僕の席は、ちょうど真ん中の一番後ろだった。 「ふぅ…」 登校ラッシュまであと二十分も時間がある。 窓の外の青空を、空っぽの心で眺める。 口から出るのは、後悔の溜め息ばかり。 ーーこんな結果になるなら、やらなければよかった。 そんな後悔が、もう心の底から湧き上がっていた。
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