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きっと翔だって本当は怖いのだ。こんな風にふざけているのは直人と、そして自分を励ます為なのだろうと思った。
「ここで話してること、聴かれているのかなあ?」
直人は監視カメラがないか、部屋を見渡した。
「どうだろうねえ。ここは普通じゃないからねえ」
直人は少し迷って、他の仲間に送り出されたことを話すのをやめた。
「川口はここにはいないの?」
「ああ、いないみたいだよ。彼は敵側の役だから、プライベートで接触がないようにしてるのかなあ。岩谷さんもいないし、宿舎はここだけじゃないみたいだね」
「そうなんだ」
直人は黙り込んだ。また不安そうな表情になった直人を見て、翔は話題を変えた。
「ねえ、足、大丈夫だった?」
「え、何が?」
「ほら、ナイフで縄切ったでしょ。当たらなかった?」
直人は自分の足を触ってみた。ジャージをめくり上げてみたが、縛られていた後がうっすらと残っているだけで、特に傷はないようだ。
「うん、なんともないみたい。あれ凄かったね、どうやったの?」
「どうって・・・ただ投げただけ」
「ええ?何か仕掛けとか・・・」
「ないよ、そんなもん。流磨になりきってると出来ちゃうんだよねえ、ああいうことが」
「え、じゃあ、もし失敗してたら・・・」
「刺さってたかもしれないねえ」
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