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第6話 ギスギスした女子会
直人が消えて一週間経った。大学にも家にもいないし携帯も通じない。面白がっていた円香も、少し不安になっていた。
大学には、病気で欠席だと言っておいた。幸いもうすぐ夏休みだ。けれどその間に直人が帰って来なかったら、もう病気でごまかすわけにはいかないだろう。
せめて違う事故に巻き込まれているのではないことを確認したいと、円香は毎日レコーダーに詰め寄ったが、撮影が終わっていないのか、脅しても、叩いてもレコーダーは反応しなかった。
簡単に身元がわかったらしいと聞いたので例の掲示板のメンバーの名前を検索しようとしたが、覚えていたのは伊藤萌だけで、彼女は見つからなかった。だから放送自体がないのか自分が観られないだけなのか確認も出来ず、円香は今日もレコーダーの前で待機しているのだが、相変わらず動き出す気配はない。
「以前だったら平気だったけど、今は本当に壊しちゃったら私も困るもんね。足元見てるわけ?」
円香はレコーダーに語りかけた。レコーダーに意思があるとは思っていないが、監視装置のようなものがついているのだろうと考えていた。円香は用心してレコーダーを設置した部屋では着替えないようにしていたが、すでにレコーダーのある部屋で直人に抱かれたことは忘れていた。
「今日も駄目か・・・」
諦めて部屋の電気を消すと、テレビ画面が光った。「タナベ」が始まって、円香は慌ててテレビの前に駆け寄った。オープニングが終わり、フィギュアのCMの後、本編が始まった。
『アーン』
ミキの声だ。男の口元とスプーンを持った女の手がアップになっている。
『美味しいー』
『もっと食べますか?』
『食べる、食べる!』
ミキと研だ。研はベッドに寝ている。病室のようだ。部屋の隅で林檎の皮を剥きながら研を睨みつけている流磨が映った。
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