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『ついでにあの親子を監視して、不穏な動きがあれば食い止めろ。そして・・・』
女王は川口の頬を両手で包んだ。
『2人とも始末してしまえば褒美を取らすぞ』
『はい。女王様』
再び画面が変わった。
流磨は一人、道を歩いている。交差点で止まっていると、声を掛けられた。
『あれ?田辺じゃないか?』
振り返る流磨のアップに続いて映し出された青年の顔を見て、円香は叫んだ。
「直人!」
円香は久しぶりに見る彼氏の顔が映し出されているテレビを撫でた。
『藤崎か?』
『久しぶりだなあ、いつアメリカから戻ったんだ?』
信号が変わり、2人は並んで歩き始めた。
「やだ、直人、結構イケてるう」
円香は相変わらずテレビを撫で回していた。
『つい最近だよ。爺さんが死んでさ』
『そうか。大変だったな。だけど日本は今物騒だぜ?時々変な怪人が出てさ』
流磨は黙ったまま少し考え込んだ。
『藤崎、確かおまえの実家、医療機器メーカーだよな?』
『ああ、俺も今そこで働いてるよ』
それを聞いた円香はうっとりした顔で言った。
「へえ、それでスーツ着てるのね。凄く似合ってるぅ」
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