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川口は病室を出た。研は川口が去って行ったドアを見つめながらミキに問いかけた。
『ミキちゃん、あの男どう思う?』
『嫌いです!』
『いや、そういう感情的なことじゃなくってさ、信用していいのかなあ』
『駄目です!女の感です』
『うーん・・・』
マスクを見つめる研のアップから、病院へ向かう流磨と藤崎に変わった。眉を顰めた流磨がアップになり、川口の背中が映った。
『これは調度良かった。あなたに会いに行く所だったんですよ、流磨さん』
流磨は黙って川口を睨み付けている。
『今、先生にお会いして来ました。マスクはちゃんとお返ししましたよ』
立ち止まっている2人に、川口が近付いていく。
『この次は逃げ出さずに戦えるよう、私にご指導いただけませんか?』
流磨の目の前で立ち止まった川口は不気味に微笑んだ。
『俺にそんな暇はない。ドリルの操作を覚えたければ、ベテランの歯科医師に頼めばいい。伝手ならいくらでもあるだろう?』
『ええ。しかし人間の歯と怪人の歯を削るのは違うでしょう。あなたにご指導いただくのが一番ではないですか?お父様も今は戦えないし、お一人では心細いでしょう。怪人と戦おうなんて人間はなかなか見つからないと思いますよ?』
『そうでもない』
流磨はチラリと藤崎を見た。川口はようやくそれまで無視していた藤崎を見た。
『私は信用出来ないけれど、そちらの方なら信用出来るということですか?』
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