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「ああ?私達を無視して勝手に集まってた男共と?まあ救出作戦が具体化したら協力してやってもいいけどさあ。あんた、仲介してよ。これ、奴等のリスト」
青木は男子メンバー数名の名前と連絡先が書かれたメモを円香に手渡した。
「探し出しただけで、連絡はしてない。ま、1人ぐらい捕まるだろ。じゃ、仕事の締め切り間に合わなくなるから行くわ」
青木が席を立つと伊藤も立ち上がった。
「じゃあ私も帰ります」
「え、伊藤さんも?ねえ半分手伝って・・・」
「私、知らない男の人に声掛けちゃダメって親に言われてるんで。頑張って下さいね、円香さん」
こいつは頼りにならないと諦めた円香は、当初の目的を思い出して青木に向かって叫んだ。
「わかりました、やってみます。だからあの、くれぐれも直人で遊ばないで下さいね!」
「はいはい」
青木は背中を見せたまま手を振って去って行き、伊藤はその後を追いかけて行った。
2人を見送った後、1人テーブルに残された円香は入り口と反対側に目を向けた。カフェは高いビルの最上階にあり、大きな窓から街を見渡せる。その片隅でスカイツリーが光り始めた。「タナベ」はスカイツリーから届く地上波放送ではないし、BSでもCSでもないようだ。一体何処からどうやって送られて来るのだろうと考えながら、円香は光を眺め続けた。
「何処にいるのよ、直人・・・」
円香は面白半分に彼氏を送り出してしまったことを後悔しつつため息をついた。もっとも、彼女がそんな風に後悔しているのは、テレビ画面を通して見て初めて直人がイケメンだと気づいたからだったのだが。
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