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第7話 敵か味方か?謎の少女
自分が一体何処に居るのか、直人自身にもわからなかった。
撮影は連日続いている。直人は変身して戦うことはないが、改良されたユニットカーで麻酔弾を撃つなどスタントマン並みのアクションを要求されていた。普通に考えたら出来るわけがないのだが、役になりきっていれば出来てしまう。翔が言っていたことは本当だった。
半分はCGだろうと思っていたユニットカーも本物で、戦闘モードに入るともはや車ではなく飛行機の様に飛び回る。直人は、家に帰りたいと思うのを忘れるくらい、役にのめり込み始めていた。
「カット!いいね、藤崎くん」
木下監督が寄ってきて直人の肩を抱いた。
「ありがとうございます」
「その調子で頑張ってくれ」
監督が直人の肩をギュッと掴んで労をねぎらい戻って行くと、翔がやってきた。
「藤崎、お疲れ」
「あー、翔・・・じゃなくて田辺、お疲れ」
翔は苦笑いした。監督の指示で、他のスタッフは全員、翔を流磨と呼んでいる。藤崎は直接言われていなかったし、劇中でも流磨とは呼ばないので翔と呼んでいたら、監督に聞かれて田辺と呼ぶように釘を刺された。
「だいぶ慣れてきたみたいだね」
「ああ、お蔭様で」
「だけど気を抜くなよ。空飛ぶ車だぜ。あれで事故ったら大変だ」
「そうだよな・・・」
そう言われると、直人は素に戻って不安そうな顔になった。
「あ、ごめん、こんな話しない方が良かったね。素に戻っちゃ駄目だ、役になりきっててくれよ」
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