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藤崎がそう言って流磨の顔を覗き込むと、流磨は表情を和らげて頷いた。
『じゃあ俺達は行くから、ミキ、しっかり見張ってろよ』
流磨はそう言うと部屋を出て行き、藤崎も一礼して出て行った。
『もう、流磨さんってどうしてミキにあんなに冷たく当たるんですかね』
しかし研は答えず、何か考え込んでいた。
『もう、先生、聞いてますか?』
『ねえミキちゃん、地下の研究室から持ってきて貰いたいものがあるんだけど』
不思議そうな顔をしたミキから、何か決意したような研の顔にカメラが移り、場面が切り替わった。
海沿いの道をユニットカーが走って行く。壊れたと言っても後部座席の特殊機能だけなので、通常走行している姿に変わりはない。
『この車がねえ・・・普通に歯医者の息子が乗り回していそうな車だけどな』
『ウチの爺さんも派手好きだよな』
『田辺、似合ってるけど』
流磨はフンと鼻で笑ったが、研やミキといる時とは表情が違う。穏やかで、歳相応の青年に見える。
『これ、触ってもいい?』
藤崎がモニター画面を指差した。
『ああ。でも気をつけろよ。レーザー砲が作動したら大変だ』
『ええ?レーザー砲なんて付いてるの?』
『ああ。戦闘開始したら誰も車に残ってないから、あまり使ってないけどな』
そう話している間に、地図に赤いランプが点灯した。
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