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神が与えし二択
「我は神だ」
「……なんだ夢か」
目が覚めたと思ったら、妙なおっさんの声がした。
どうやら、まだ夢の中らしい。
なんか、ひたすらにだだっ広くて真っ白で何もない空間だった。
ふわふわとして気持ちがいい。お休みなさい。
「待て待て、寝直すな。せっかくの機会を無に帰すきか」
「うるさいな。誰だよ、あんた」
私の夢なら私の言うことをきけよ。こちとら日々の疲れが溜まってて眠いんだ。
夢の中でまでストレスかけてくるんじゃないよ。私に自由はないってのか。
「我は神だ。話を聞け」
「嫌だ。寝かせろ」
「お前の意識に語りかけている理由を、これから説明する」
「そっちこそ、私の話を聞け」
神だろうが仏だろうが恐怖の大魔王だろうが、人様の眠りの邪魔をする権利なんてないだろ。
理不尽を強要するのはハゲ上司だけで十分だってのに、ふざけんな。
「……致し方ない。これを見るがいい」
「あん?」
真っ白だった空間が、不意にテレビに走る雑音みたいに揺れる。
すると、私の寝顔がドアップで映し出された。
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