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ポケットから携帯を取り出し、アドレス交換した。フリフリアプリなんて初めて使ったよ。なんてことない作業なのに、フリフリして登録できましたとアドレス帳に大倉君の名前が入ってるのを見ると、「おお~」なんて嬉しくなる。なんでもやってみるもんだな。と、自分らしからぬことを思った。
そこから、また本詰めに戻って、最後のダンボールの蓋を閉める。
「はぁ。やっと終わった。あとはコレを会議室に運ぶだけ」
大倉君はヨッとダンボールを抱えると僕を振り向いた。
「行くよ。きみちゃん」
「う……ん、ちょっと待って」
持ちあげたダンボールは思ったよりずっしり重い。なんで大倉君はあんなにヒョイと持ち上げられるんだ。
腰を入れて抱え込みよいこらよいこらと会議室へと向かう。窓から入る明かりも雨で全然威力ない。シンと静まりかえった薄暗い会議室の後方にダンボールを積み重ねていく。
それにしても重い。
資料室と会議室を数回往復して、僕はヘロヘロになってしまった。
「ちょっと休憩する?」
ダンボールの影に隠れるように、大倉君が窓際の床へ腰を下ろした。
「きみちゃんもおいで」
ニコニコ手招きする大倉君の横に、フラフラと座る。かなり重労働だよ。一人でだったら絶対に無理だ。
「疲れたぁ~」
「だね。はい。ご褒美」
大倉君がまた僕の口へタブレットを運ぶ。
大きなダンボールが積み重なってるお陰で、入口から僕たちの姿は見えない。ちょっとさぼっててもバレないだろう。なんて、そもそもこんな四階の会議室になんて誰も来ないだろうけど。
ダンボールにもたれ、「あー」と口を開けた。大倉君がまたストロベリーミント味のタブレットを口へチョンと入れる。
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