ナイジェリアからの手紙

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 「ハローフレンド」  「こんばんは」と投げ合って終わる。退会したようだ。他にもアメリカ在住と称する男性会社員の友達の申請を承諾。すぐに退会する。  10月10日、アメリカ人の女性が友達の申請をしてきた。プロフィールの写真に違和感がある。きれいな身なりで赤じゅうたんの上や、後方に企業名がいくつも書いてある壁の前に立っている。  写真には、「ゲッティ・イメージ」と挿入されている。写真や画像を管理している会社の物を勝手に使って著名人を演じている。アリソン・アロウと名乗っているが、プロフィールの写真は、アリソン・ホーカーという有名なダンサーだった。  とうとう、有名著名人まがいの者まで出没したか。こんな物でよく、人をあざむこうとするな。  「ハロー」  「こんにちは」  メッセンジャーでのやり取りもこれで終わる。その後、退会しているのが確認できた。別職業に偽装するのは、軍人軍属で通用しないからか。  去年、おととしも同じことがあったことを思い出した。あいさつをしてきた人に、日本語で返答した。返信はなく、すぐにプロフィールが消えた。  スーパー、そうざい店の店頭に、おせち料理の予約販売の告知が、貼り出されていた。今年もあと2カ月足らずか。今日は10月12日だ。残り80日で2018年も終わる。年末に向けて利用客が多くなる。  この30年余り前から、「ハロウィン」も盛んに行われるようになった。キリスト教を主宗教とする国で実施されている。秋の収穫感謝兼悪霊退散の行事。主に化け物にふんして仮装行列をしたり、菓子を配ったりする。なぜか、世界の平和のために、テロリスト退散と奉仕活動している私には、菓子の差し入れはない。  誰に頼まれたのはなく、自主的に行っている奉仕活動でもある。対価を求めてはいけない。必要なのは安全の担保だ。  菓子店には、対ハロウィン用で期間限定のかぼちゃを使った菓子が陳列している。もともと、ヨーロッパの中央部に居住しているケルト人が始めた収穫祭だった。アメリカに伝来したとき、大量に収穫していたかぼちゃをちょうちん(ランタン)にして装飾したのがことの起こりだ。日本では菓子に化けている。
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