スカンベイター

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 「はいサー」  自称准将は、了解しましたという「Yes, sir」を日本語に訳してきた。直後に写真を二葉、送ってくる。一枚は航空機に搭乗しようとしている場面。白塗りのプロペラ機で、「UN」と書かれている。国連平和維持活動( United Nations Peacekeeping Operations)の略称。もしくは「PKO」とも称される。  「人を小馬鹿にしないでくれよ。正確に話してくれよ。専用機か。機種は何だい」  「私はあなたが意味することを理解していない」  これだけの写真では機種を特定できない。相手方も航空機の機種がわからないため、質問内容を理解できないと返答してきた。  もう一枚の写真は、迷彩戦闘服に青色のベレー帽をかぶった、ヨーロッパ人の男性が車両を運転している物だ。平和維持活動では、青色のベレー帽か鉄帽子を着用する。  右ハンドルではないか。イギリス軍とわかった。イギリスも南スーダンの平和維持活動に参加していた。ただし、写真は2013年に、キプロスという国で活動していた物だと確認できた。  「あれ、車両は右ハンドルだよね。イギリスのランドローバーをどうして運転している」  「それは国連軍に属しています。私のためではない」  国際連合は軍隊を持っていない。詐欺師は、国連に属する軍の将官だと言いたいようだ。存在しない部署をよくも平気で言えたものである。  「私の退職のために祈る。私を助けて」  「アメリカは左ハンドルだよね。平気で運転できるね」  将官はよほどのことがなければ、車両を運転しない。専属の運転手役がいる。  「ありがとうございました。私は私の良き友人としてあなたを取ることを願って。はい、のようなもの」  「のような物とはなんだ」  「私は、はいを意味する」a86864b8-53b4-4acf-b230-facf81c9ea21 68270353-c687-4c67-a33b-3be121041637
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