ライカとアイカ

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ライカとアイカ

あたし達は生まれた時からずっと一緒だった。 このセカイはあたし達が生まれる数百年前よりもずっとずっと便利になった。 超能力ー従来そう呼ばれていた人知を越えた『力』は、皆生まれつくか、あるいは後天的に得るようになった。 『力』。 それは自分の体力がもつ限り排出し続ける科学の膿であり。 また現代セカイに欠かせないものでもある。 「ありがとうございました」 コンビニによって買ったアイスは上手い。 かつていた母はまさに科学の虜だったから、こういう人造品の極致みたいな食品に、舌がなれているのだと思う。 「いらっしゃいませー」 機械音がドアが開閉するの度になり続ける。 AIという古ぼけた知能の発展の結果、あたしたちの生活は大きく変わったらしい。 それでも、『力』ほど人類を飛躍させたものもなかった。 「行くよ、アイカ」 ライカが食べ終わったアイスの棒を念動力で近くのゴミ箱に放り込む。 彼女の『力』は、エスパー。 物理属性に弱く、闇属性に強い。 それぞれ属性が振り分けられた『力』にはレベルがあり、ライカのエスパーではせいぜい道端の石ころを動かすのが精一杯。 「はぁっ」 あたしの能力である火炎も、この棒きれ一つを燃やすのに一苦労だ。 「行こうか」 ライカに応えて。あたしも立ち上がる。 コンビニ前は閑散としていた。 少し右手を行けば、とっくの昔に崩壊している学園があり。 左手を行けば、『制御力』が働かないのをいいことに、『力』を、もって暴れまわっている不良のたまり場だった。 『力』をもった人間は、『力』に支配される。 このセカイは、コンビニもあるし、政府もあるけれど。 とっくに崩壊していた。
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