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最初に科学で『力』を発現させた『Φ』という研究機関は、劣悪な秩序の中でもある程度の力を保持していた。
政府諸機関が、のきなみ手打ちになるなか、ついにこのセカイを平和になるなか、統治する存在を、作ろうとした。
それが、かの人造品『デウス・エクス・マキナ』。
物語の終盤、都合のよい調和をもたらす劇の神様からつけられた名前。
略称、『デウス』。
『Φ』は『デウス』の開発によって、『力』にあぶれたこのセカイを救済しようとしていた。
『デウス』の力は、その圧倒的な『封殺力』。
本来、施策を進める中で政府も無能だったわけではない。
秩序維持のため、適宜見極めながらすべての『力』を『キャンセル』する力、上位の『力』を用意していた。
ただ、見込みが甘かった。
「消えろ」!!
『エスパー』の内でも高位レベルに達した男が叫ぶ。
『バニッシュ』に対抗してかけられた女の方は『ディフェンス』ー防御系の魔法属性わを繰り出していた。
一対一の攻防。
喧嘩。
だが、政府の『秩序力』がきちんと働いていれば、まず紺ならことは起こり得ない。
あり得るはずだった秩序と。
それを越えた科学の力、人間の『力』。
このセカイは崩壊していた。
「ほら、急ごう」
下級レベルの力しか使えない二人では、あんなありふれた喧嘩も仲裁することは出来ない。
もとより、する気もない。
『デウス』ーその存在は、全てを平定するはずだったのに。
消えてしまった。
『Φ』の元から。
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