死後の私

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 全く理解出来ない展開に頭が追いついていけない。  いや、死んだ後でも頭が“正常”に動くなんてあり得るのだろうかと、ふと疑問に思うけどね。  それに一応、私の身体は“霊体”――つまり魂の状態になっているから他人の人には見えないみたい。  まあ、『死んだ人間が学校にいる』なんて噂が流れたらこの学校は文字通りの心霊スポットになるから、それはそれで好都合なんだけどね。 『………………』  むにっ――と、自分の二の腕をつまむ。  どうやら自分の身体を“自分で”触ることは出来るみたいだけど。  …………ヤバイ、全然分からない。  いえ、死んだ後のことなんてどうなるか全然分からなかったけどさ。  でも死んでからこんな新しい発見したところでどうしろっていうの?  てか、私はこれからどうすれば良いの? 誰か教えて下さい。  とりあえず適当にぶらぶらしておこっかなぁ。  私にとっては数日ぶり学校だし、もう二度とこの目にすることのなかった景色だから、今のうちに思う存分堪能しておこうっと。  そう思い、私は霊体と言う特権を利用して、普段は入ることのない場所を巡り巡った。  全く知らない教室の中とか。  本当は無断で入ることは出来ない校長室とか。  ……男子トイレとか。  ――うわぁ、男子のトイレの中ってこうなっているんだ……  ……え、こんな便器でどうやってトイレしているの? え、男の子の身体ってどうなっているの?  保健体育の授業はいっつも寝ていたからそういうのに疎い私。  思う存分……と言って良いのか分からないけど、長い間男子トイレを観察して、それが終わって出てきた瞬間―― 『……なにやっているんだろ、私……』  一気に恥ずかしくなった……  死んだ後で自分が“むっつりスケベ”だっていう衝撃的な事実を知るなんて夢にも思わなかった。  いや、この場合は『死んだ後にも思わなかった』と言うべきだろうか。  ……センスのないダジャレは誰も聴いていないからセーフッ!
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