死後の私

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 まあ、とりあえずまだ行っていないところにでも行ってみよーっと。  今の時間は学生達が“お勉強”しているから、そこを邪魔しに行っても良いんだけど、私に気付くような生徒はいないだろうし。  それに、教室なんてどこも一緒だしなぁ……  でも……気になったところは大体回ったし、後はどこだろう? 『………………』  ――そうだ! 職員室だ!  いっつも先生達がいるから私みたいな一般学生が簡単に入れるような場所じゃなかったけど。  今の私ならば一々許可取らなくても、自由に簡単に通れる!  嗚呼、なんて素晴らしいんだろう! ただの学生が職員室に簡単に出入り出来るなんて……!  ……まあ、死んでいることが前提だけどね!  自分で苦笑して、私は職員室の扉をノックッ!  ……することなく、その扉を通り抜けて、普段は入らない職員室と言う未知の世界にやって来た。  ほうほう、職員室ってこうなっているんだなぁ……  おっと、先生――大事な生徒の個人情報が詰まったファイルを机の上に置き忘れてますぜ!   まあ、今の私が見たところで一体何に使うのかは自分でも分からないけど。  それにしても不用心だなぁ。性格が悪い人に悪用されたらどうするんだ!  気になったので、私はそのファイルを棚にしまっておいた。  私――えらい! 一日一善出来た!  でも……傍から見れば、『ファイルが急に浮いて元の場所に戻った』という、いかにもポルターガイストですよーってアピールしているようなことをしているのに、誰一人気づいていないのはどういうことですかな?  私、悲しい……
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