死後の私

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 ふよふよ、と廊下の中を浮かんでいると。  体育館の方から複数の声が聴こえてきた。  ――そうか、今は授業中だから、もちろん体育の授業もあるよね。  暇だし、見に行ってみよーっと!  壁をすり抜けて、私は何の苦労もすることもなく、体育館の壁をすり抜けて。  ただいま絶賛、汗を流している学生達を見る。  この学校は男子と女子の体育は“場所”を分かれて授業をするみたいだから、体育館にいるのは女子ばっかりだ。  まあ、その理由は――私が入学する数年前、まだ男女合同の体育があった時。  一人の男子生徒が体育中に、他の女子生徒にセクハラみたいな……こう、ラッキースケベって言うんだっけ? そういうのをしたからそういうのを防ぐみたいな?  まあ、そんな理由で男女別になったみたいなんですよ。  でも………… 『ほうほう……汗まみれの女子も、中々良いモノですなぁ』  私には分からないけど、今の体育館は熱気に包まれているようで。  体育の授業――バスケをやっている女子達の身体からは大量の汗が流れ出ている。  それが体操服に染み込んで、こう……ピッチリ、と。肌に張り付いているようで。  中々……そそられるモノがある。  私に同性の女子を愛でるような性癖があったことには驚きだけど、まあ、死んでいるから別にバレないし――構うもんか!  開き直ってしまえばこちらのものなんですよッ!  とりあえず、生前には出来なかったスキンシップと言う名のセクハラをしてみよーっと。  一度そういうのをやってみたかったんだーという誰も聴いていない言い訳を言いながら。  身体をふよふよと浮かばせて、私はバスケをしている女子を眺めている女子達の中に紛れて。  何の躊躇いも無く――私はその豊満な胸に手を伸ばしッ!  すかっ――と。  その手は女子の身体をすり抜けてしまった。  ……まあ当然でしょうね。  無機質の扉とか壁をすり抜けるんだから、人間の身体もすり抜けるんでしょうね。  でも、なんだろ……この裏切られた感は……!  なんだか良く分からないけど――悔しい気持ちだよ!
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