ココロの中で

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ココロの中で

「僕はこれで良いのか?」 そう思うようになったのはいつからだろうか。 …これで良いのか。 僕は小さな部屋で考えていた。 部屋は暗く、窓もない。 扉は閉まっている。 …これで良いのか。いや、良かったのだ。 これで恐れるものはないし、痛くもない。 恐怖がないのは極楽ではないか! これは僕にとって利益だと考えたのだ。 …本当にそうだろうか。 この道を進むと決めたのが僕ではなかったのか? 僕は挫けることを恐れるのか? 立ち上がれないのか? 怖くて進めないのか? そんな訳がないじゃないか。 転んで、挫けても、 また立ち上がれば良いのだろう? 立ち止まってしまっても、 また進むことができるかもしれないだろう? 僕は僕だ。 どんなに辛くても、痛くても、進むことができるのなら進もうじゃないか。 悲しくてもそれ以上の喜びが進んだ先にはあるはずだ! このままでは恐怖の中にいるのと同じだ。 立ち上がることを恐れてはいけない……! 僕はそっと立ち上がる。 ゆっくりと扉を開くと光が差し込んできた。。。 ………………… ………… …… … どれくらい眠っていたのだろう。 僕は銀色のカプセルの中から出た。 窓の外にはどこまでも暗い空が広がっている。 もうすぐ着くはずだ。僕は呟いた。 「道はなくても進むことはできる。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー はるか昔に事故を起こし、方向感覚を失った宇宙船は暗く大きな闇に引き込まれていく。 黒く巨大なこの渦に巻き込まれ消えてしまうのか。 この渦の先に出口が見つかるのか。それは分からない。 宇宙船は加速していく。どんどん。どんどん。 渦はすぐそこまで迫っている。 僕は目を閉じ、覚悟を決めた。 あのまま寝ていた方が良かったのか。 いや、きっと違う。 渦の先は同じでも、どんな結果でも、 カプセルの中にいることは恐怖から逃げ続け、 永遠に恐怖に慄き続けることと同じように思う。
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