ある学生

4/6
前へ
/235ページ
次へ
何を言い出すのか。 学生が大人を馬鹿にするとわ。 K氏は冷静さを保ちながら、言った。 「世間と言うものを知らないのに、そんなことを言い出すんじゃない」 「そんなもの知らなくても、出来ます。教授の肩書きが欲しいんですよね?」 「仮にそうだとしても、自分でなるつもりだ」 「でも、簡単じゃないから、まだなれないんでしょ?」 「それは」 学生の言うことに、K氏はもう言い返せなかった。 「大丈夫です。私が必ず先生を教授にしてあげます。そうなったら、報酬をお願いしますね」 「何をする気だ」 学生はK氏の質問に答えず、去っていった。 それからしばらくは、彼女は講義に出席しなくなった。 何学部かも分からないから、見つけることも出来なかった。
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加