ある学生

5/6
前へ
/235ページ
次へ
またサボっているんだろう。 あんなことを言ったのも、学生の気まぐれに違いない。 K氏がそのことを忘れかけていたある日、大学で事件が発覚した。 K氏の上司にあたる教授が学生と遊んでいたことが明るみに出た。 教授は責任を取り、クビに。 自動的に教授の席にはK氏が、昇格した。 長年狙っていた、その座が突然手に入った。 これまでどれだけ研究をして、論文も書き、ほとんどの時間をそのために費やしてきたというのに。 K氏が講堂での講義を終えると、あの学生が残っていた。 「君があの教授を?」 「おめでとうございます」 「このために、君は身の危険を犯したんじゃないのか?」 「ご心配ありがとうございます。でも大丈夫です」
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加