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神さまなんていない。
僕の世界には神さまなんていないんだ。
もしいたとするなら僕はこんな酷い目にあってはいないからだ。
「ハハッ、こいつ腹蹴られてゲロ吐きやがった! きったねえなぁ」
「やべーマジ受けるんですけど」
本日三度目となるスタマックキック。ひ弱な僕の胃が内容物をリバースインフェルノ。
「くっせー、もらいゲロしそう」
「マジかよ、吐くならこいつの顔にな」
そう言いながらサトル君がとどめの一発とばかりに僕の背中に蹴りを入れる。衝撃の後にじんじんとした痛みが僕の背中に広がっていく。
「顔はやめとけよ。せっかく綺麗な顔してんだから」
ケンジ君が笑いながら本心でもない優しさを見せる。全くみんなご機嫌だ。僕だけ仲間外れで嫌になるね。
「ホント、こいつ顔だけは綺麗だよな。女みてーだ」
女みたいな顔かぁ。
それは嫌だなぁ。
男らしさこそ善なるものとするこの男子校じゃ、僕みたいな存在には人権なんてないみたいだ。
「つかさ、俺この間さ、オンナと別れたんだよ」
「マジかよ」
「しかもその理由がこいつに一目惚れだとか抜かしたんだせ。ヒデーよな。マジでオンナは魔物だわ」
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